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二酸化塩素の用途
二酸化塩素の製法が発明されて、200年が経過しておりますが、事実上使用され始めたのはナイヤガラ瀑布浄水場の原水の酸化を持って、今日に至ります。70年前でした。
以下は、アメリカの高名な博士の著書(2006年)に基づく、二酸化塩素の用途を現在の日本の置かれている状況を考慮にいれながら簡単にまとめてみます。
(Practical Chlorine Dioxide, Greg D. Simpson, PhD. 2006, 全302頁) 翻訳本は存在しません。

1.湖沼、大型貯水場と河川水の混合水を原水とする浄水場で、初夏から晩秋にかけてかけて発生する異臭味の原因となる、アオコ(Algae)の処理。
アメリカには多くの実例がある。
関西地区では和歌山市を流れる紀の川がこれに該当する。

又、原水にフミン質などの有機物が存在する場合、殺菌剤塩素と反応して発がん性物質が生成される。

平成27年度4~12月の水質検査結果では、総トリハロメタン量に関して、和歌山市加納浄水場の最大値は0.032mg/Lで、同市真砂浄水場での最大値は0.003mg/Lであった。
現行規制値は0.1mg/Lであるので、充分条件を満たしており、特に最下流の真砂浄水処理場の場合、高度処理を行っている模様で規制値を大きく下回る。
この第1項は、調査不足のため参考程度とする。

2.福島原発の被災で、原発は火力発電に切り替わったが、海水温上昇で火力発電所の2次冷却水用取水口では、ムラサキイ貝、フジツボの発生が見られてと予測できる。
ポンプアップの効率低下と、付着するイ貝の処理には相当の労力と費用を要求される。現状は把握出来ていないが、このマーケットは存在していると思われる。
或は、この事象は春から晩秋にかけての季節的なものであるため、海水の電気分解により生成される次亜塩素酸ソーダの投与で耐え忍んでいるかもしれないが、二酸化塩素は大きな力を発揮することがアメリカで実証されている。
1.
調査の結果、火力・原子力発電所の70%で海水電解次亜が使用されており、ムラサキイ貝、フジツボ等による給水管への被害は相当解消されている。
塩素の添加による、自然界への影響は度重なる努力によって殆ど発生していない。
小職の調査不足があり、この項は参考程度とする。

3.硫化水素対策、過去福岡市の建築廃材埋め立て現場で硫化水素ガス中毒による、現場の若手技師4名の死亡事故が発生した。その因果関係の調査で2名のUS Sabreの技官と弊社の2名が現場でその任務を担当することなった。
硫化水素ガスに対する認識不足が、大きな要因であったことが判明した。
ガスは大気中で無限大に希釈され、危険の領域から容易に安全へと解放されるが、貯留型、それも狭域型であれば、致死量400ppmの濃度に達するには永い時間を必要としない。
二酸化塩素・亜塩素酸ソーダは硫化水素を瞬時に中和することが出来る物質である。

関係各所の現状の調査・把握が必要である。

4.下水道合流改善、現在、国土交通省所管、下水道事業団埼玉研究所で関係する大手企業が参加し、コンペが開催される予定がたっている。
事業目的は、処理不能による大腸菌類の河川水、海洋へ放流を食い止める方策の実証・検討を行うことにある。
弊社はJFEエンジニアリングにSabre社の二酸化塩素発生装置を供給し、機器の調整をその任務とするが、関西地区での最大手はクボタである。
JFE対クボタの戦いになる可能性がある。
大きな問題は、原料・25%亜塩素酸ソーダの調達にある。
原料の供給は、JFE側に分があれば、弊社経由で納入することは暗黙の了解事項である。

横浜市金沢水再生センター(下水処理場)の処理量/日は22万トンであり、雨水合流改善の場合44万トンに至る可能性がある。人口38万人。
二酸化塩素殺菌を行う場合、5ppmの投与、追加要殺菌水量を10万トンと仮定すると(32万トンは現行の塩素処理)、500kg/日の二酸化塩素を必要とする。
原料亜塩素酸量 = ClO2 500kg/( 0.25 (25%濃度) x (67.45/90.44モル比) x 0.9(反応効率))
= 3,000kg ? 比重1.25 ? 3,700kg
= 250kgドラム15本/日
日量、500kg以上の二酸化塩素発生装置はUS Sabre社、その関係会社以外では技術的に、また特許の問題があり製造が出来ない。
消費量が膨大であり、事業団における「コンぺ」の成り行きを注視する必要がある。世界の、亜塩素酸ソーダの需給バランスが崩れる可能性もある。

5.食品加工工場内の簡易消毒を行うことの出来る、小型二酸化塩素発泡装置。手の届きにくい箇所で発生するカビ防止、各種細菌類の不活化をその目的とする。金属腐食を起こさない低濃度・無臭型界面活性剤に二酸化塩素を抱かせる装置で、一人で手軽に各所へ運搬可能な機器である。コンプレッサーは必要としない。各工場内の高圧エアーを使用する。
装置に供給するA液、B液の販売が主力となる。
当該装置はUS Sabre社からの輸入による。機器・薬液の現物あり。

6.使用済み大人のオムツの、二酸化塩素による粉砕、滅菌処理装置は、未だ世界の何処にも存在していない。小職は20数年前特許を取得したが、今日まで開発されるに至っていない。
東京都都庁の感染性医療廃棄物処理担当官と面談したとき、完成すれば東京都の認定が直ぐに下りるよう、同時に東京都の推奨品とすることが出来る可能性があるので努力してみてはと言われたが、協力者を探すことが出来なかった。
使用済みオムツを5mm状の切片に切り刻みながら、滅菌処理を行う装置である。
リース方式か、或は小型トラックに搭載し、必要箇所を巡回、現場で処理を行い、無臭の生ごみとして処分する。
高齢者は増加の一途をたどり、使用済み大人のオムツはやがて深刻な問題へと発展していく、この負担は一方的に看護師、介護士によせられ一時貯蔵所まで運ぶ途中、貯蔵所の扉を開けて投げ入れる時の苦痛は経験者以外では想像もできない過酷な労働となっている。

処理機器の開発と合わせて、病室から貯蔵所に至る苦痛な作業の大幅な軽減策(特殊消臭剤)を考案するプロジェクトも存在する。

7.二酸化塩素粉末剤の市場は、識者を交えて検討する事になる。

8.安定化二酸化塩素の用途
過去、箱根山、伊豆山一帯の大規模根菜類生育農場で, 猛毒燻蒸農薬(クロルピクリン、D-D等)の度重なる使用で疲弊した、農地を蘇らせる試みで、安定化二酸化塩素の散布試験を行った。
2年半の間、驚異的な大豊作を迎た。
例えば伊豆山のスイカ畑では、収穫期にメロンサイズまでしか育たなくなり、糖度も落ちてしまっていた。作付前に安定化二酸化塩素噴霧後、一度掘り返しを行い、例年と同様な方法で苗を植えていくと、収穫時には驚くべき光景が見られた。
その畑のスイカはメロンの5倍の大きさとなり、糖度も上昇し、農協から“秀”マークを取得してしまった。

然し、3年後、薬害が発生し、以後使用中止に至る。

当時は、土壌に残留する亜塩素酸イオンの中和方法を思いつくことが出来なかった。繰り返しの実験は必要であるが、理論的には困難ではない。
過去の適量は1反あたり、6%濃度 20Lを100倍希釈して全域に散布し、4~5日後土壌の掘り返しを行った。
以上、Dr. Simpsonの著書を参考にした案件と、弊社独自に考案した二酸化塩素用途を簡単にまとめました。
2014年の改訂版は20項目からなり、18頁に及びますが、現状を看過して、1~2項目を除外し、残り3~8項目としました。

2016年3月2日

セイバーケミカルエンジニアリング㈱

波多野義昭

 

 

 

 


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